高校野球を題材にした漫画というのは今も昔も大人気のジャンルです。

作品数も他のスポーツよりかなり多く差別化が難しいジャンルですが、その中でも異彩を放つのが今回紹介する「バトルスタディーズ」。

実在した野球強豪校PL学園(作中ではDL学園)を舞台にしたリアルすぎる高校野球漫画です。

全体の感想 伝説になってしまった野球強豪校PL学園

伝説の野球強豪校PL学園

すでに廃部になってしまいましたが、プロ野球ファン、高校野球ファンにとってPL学園というのは忘れられない存在だと思います。

高校野球大激戦区の大阪を代表する甲子園常連校で数多くのプロ野球選手を輩出、そして一度聞いたら忘れない奇妙な名前。伝説の試合の数々。

そのPL野球部に在籍した人が書いた野球漫画となれば読まずにはいられないです。

むしろなぜPL野球部から漫画家になったのかの方が気になりますが。

PL学園のPLとは「Perfect Liberty パーフェクトリバティ」の略で大阪府富田林市にある宗教団体です。

羽曳野丘陵の白い魔界の塔のような施設のふもとにあります。

8月には教祖祭PL花火芸術という日本屈指の大きな花火大会が行われることでも知られています。

永遠のPL学園: 六〇年目のゲームセット

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野球強豪校の日常とは

野球漫画はいろんな切り口があると思います。たとえばあだち充のタッチは高校野球を題材にしていますが基本はラブコメです。

バトルスタディーズは野球部とそこに関わる人々そのものを描くことにウェイトを置いた作品です。

僕自身は野球は全くできませんが、自営業なので高校野球の季節はだいたい仕事場のテレビでは甲子園が写ってるしプロ野球もカープの試合がやってるときは大体みています。

でもバトルスタディーズを読んで気づいたのは、彼ら高校球児やプロ野球選手がどんな環境で育成されているのかよく知らないということでした。

この漫画ではそれを垣間見ることができます。

漠然と強豪校なんだからいっぱい練習しているんだろうな程度の認識しかありませんでした。

もちろん学校によって違いはあると思いますが、バトルスタディーズで描かれる強豪校の野球部の日常生活は想像以上にエグイです。

伝統的指導法と時代の変化

PL学園野球部が廃部に追い込まれたのは暴力事件がきっかけですが、作中でも時代の変化とともに厳しすぎる指導方法の方向転換や後輩との接し方に悩む先輩達の姿が描かれているのが印象的です。

おそらくバトルスタディーズはいろんな世代のPL野球部員のエピソードが混在している気がしますが、作者が在籍したときは世間的にも体罰がかなりうるさくなってきていた時代なのだと思います。

主人公よりも濃い周りのキャラクター

主人公の影が薄いのも特徴的な漫画です。

普通の野球漫画の主人公だと弱小校に入って強豪校を倒すのが目標とかわかりやすいキャラ付けをします。

しかし主人公の狩野笑太郎は純粋にDL野球に憧れ、中学での野球の実績もバリバリの野球エリートです。

あまりこの人自身からはドラマが発生しなさそうな主人公です。

実際読んでいると野球部という組織を中心に話が展開するため(周りの人間ほうがキャラが濃い)、この漫画の主人公は野球部そのものなのだと思います。

野球に詳しくなくても楽しめる

野球的な知識の解説も多く、野球に詳しくない人でも楽しめます。

自分のように野球を何となく見ていただけの人間にとっても知らないことが多く勉強になります。

WBC、春の選抜、プロ野球開幕と野球のシーズンが始まるので読んでおきたい漫画です。

バトルスタディーズ1巻のあらすじと感想(ネタバレ含)

バトルスタディーズ1巻のあらすじ

中学一年の時に見た「横羽間高校 VS DL学園の延長17回の死闘」をきっかけに大阪の野球強豪校DL学園を目指す狩野笑太郎。

勉強そっちのけで1日7時間の猛練習の末憧れのDL学園野球部への入学を決める。

DL野球部には1学年18人しか入部できないが、そこには檜研志をはじめとする野球エリート達が全国から集められていた。

一年に2回しか家に帰れない全寮制、まるで軍隊のような縦社会の野球部、DL学園野球部の黒い噂におびえて初日から逃亡する仲間、中学時代とはレベルの違う練習内容、先輩たちの練習試合など通してDL野球とは何なのかが描かれる。

バトルスタディーズ1巻の感想

強豪校を目指す中学生がどんな生活を送っているのか、から描かれる漫画も珍しいと思います。

PL学園(作中ではDL学園)に1学年18人しかいないというのも知らなかったです。

アルプススタンドにたくさんいたイメージがあるからもっといるのかと思っていました。

そして1巻からいきなりのバーター入学の同級生、丸井の逃亡。

バーター入学というのも聞いたことがなかったですが、強豪校では普通なのでしょうか。

バーター入学とは有力選手を入部させる代わりにイマイチな選手もセットで入部させてほしいという強豪野球部とシニアリーグなどのチームの約束のことです。

強豪野球部は有力選手が手に入るし、シニアリーグなどのチームも強豪野球部へ輩出したということで才能ある子供が集まるというメリットがあるという仕組みです。

後半DL野球部の練習試合が始まるが解説が細かくて楽しいですね。

プロ野球の解説などではプレーがどんどん流れるため細かすぎる解説はあまりないですが、さすがに漫画はこういうウンチクネタを紹介するのに向いています。

技術書などと違ってストーリーの中で解説されるのでわかりやすいです。

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