「遊びが仕事になる時代」なのにどうしてマンガを読まないの?という見出しが印象的な、堀江貴文氏の「面白い生き方をしたかったので仕方なくマンガを1000冊読んで考えた →そしたら人生観変わった」を読んだのでその感想です。娯楽としてだけではないマンガの力とは?

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面白い生き方をしたかったので仕方なくマンガを1000冊読んで考えた

堀江氏は以前にも「ネットがつながらなかったので仕方なく本を1000冊読んで考えた そしたら意外に役立った」という本を出しています。これは長野刑務所へ収監中だった時に読んで面白かった本をまとめたものですが、その中には結構マンガも含まれていました。「面白い生き方をしたかったので仕方なくマンガを1000冊読んで考えた →そしたら人生観変わった」はそのマンガ特化版のような本です。

今、「想像的知識」の時代が到来している。

今はまだ存在していない想像上の知識が次々に仕事を生み出し、未来をつくっていゆく時代だということだ。マンガ作家の想像によって生み出された知識が、現実で多くの人に受け入れられ、感動を呼び、未来をつくる知識になる。これは大きな驚きであるのと同時に、これからの知識のあり方、身につけ方をも示している気がしてならない。マンガはそのことを教えてくれる格好のメディアなのだ。

ようするに「面白いしタメになるからみんなもっとマンガ読もうよ」という本です。マンガのチョイスが渋めなんですが30代、40代なら読みたい!と思うマンガがあると思います。なんか最近似たようなマンガばかり読んでるから変わったの読んでみたいなという人におススメです。

マンガを紹介すると言っても数が膨大なのでどういう切り口で作品を区分けするのかがポイントですが、本書は9章の区分けで漫画を紹介しています。

  • 「仕事はセンス」と教えてくれるマンガ
  • 想像力は観察力だ
  • 人は情報を食べて生きている
  • 鉄文という生き方
  • 栄光なき天才たちが社会を動かす。
  • 著者で読むマンガ
  • 読書家に負けない知識がつく、実用マンガ
  • いろんな「if」
  • 忘れられないトラウマ・マンガ

青年漫画が中心で、仕事・社会・ドキュメンタリー・グルメ・鉄道関係の漫画が多いです。マンガの解説もマンガ好きならではのウンチクや人脈を生かした作者とのエピソード、マスコミバッシングや収監中の体験談を交えた話など多彩です。

本の中から自分も読んだことがあるマンガをいくつか紹介します。後から増やすかも知れませんが数が多すぎるのでとりあえずこれだけ。順番に特に意味はありません。

ラーメン発見伝

ラーメンを題材にしているが経営面やマーケティングの話も多く普通に勉強になる本。街のラーメン屋が何をしているのか見えてラーメン屋に行くのが楽しくなる。

グラゼニ

プロ野球をお金の面から切り取ったシビアな作品。過酷な引退後の生活の話など辛い話も多いが、イマイチな選手の生き残り戦略などビジネスマンにも共感できる部分も多い。

描かないマンガ家

マンガ家に憧れて漫画の専門学校に通いながら何もしないダメ人間が主人公。マンガを今自分がやってることに置き換えたらほとんどの人が心をえぐられるのではないだろうか。成功できないのは行動しないからだというシンプルな事実が突き刺さる。

重版出来!

ドラマ化もされた有名作なので取り上げる必要はないも知れないが、元気のない時や仕事でやる気が出ない時に読み返したい名作。ジョージアのCMのコピーではないが世界はだれかの仕事で出来ていることを実感する。

波よ聞いてくれ

北海道札幌を舞台にした恋愛もの。ダメな男達に振り回される主人公が痛々しい。こういう女性はダメな男を引き寄せる何かがあるのだろうか。

鉄子の旅

鉄道になんの興味もない漫画家の菊池直恵氏がガチの鉄道オタクの横見浩彦氏に振り回され全国を旅するというなんとも気の毒な漫画。駅から出ない旅はさすがに笑った(各駅に降りるだけ)

孤独のグルメ

言わずと知れた名作。お一人様なら是非読まなければならない。一人外食が数倍楽しくなる。

かくかくしかじか

人気漫画家東村アキコ氏の自伝的マンガ。美大の描写があまりにリアルで震える。彼らはみんなピーターパンなんや。全5巻と短くまとまっていて読みやすい。

新しい漫画家の生まれる場所

堀江貴文氏と漫画編集者の佐渡島庸平氏の対談が載っているんですがこれも面白い。

SFというのは漫画の得意ジャンルの一つなんですが、最近では現実の技術革新が速すぎて未来を描いているはずの漫画の連載中に現実が追いついてしまうようなことが起きているそうです。漫画が現実になるスピードが加速化しているんですね。

現代を舞台にしたマンガなどは長期連載が続くと漫画内の技術と現実との技術がかけ離れすぎて勝手にファンタジー化してしまうことがあります。本来現実的な設定が魅力だった漫画の設定自体が古くなって、何もしていないのにリアリティを失う。

あとは最近の漫画家志望の若者の傾向の話が出てくるんですが、今の若い人でもネットで作品を発表することには消極的で、いまでも漫画の新人賞という権威に魅力を感じているという話は意外でした。結構ネットの無料マンガのサイトとかで公開してる人多い気がしますがまだまだ少ないということでしょうか?

インターネットが本格的に普及し始めた2,000年代前半、それまで何か作品を発表するには漫画の持ち込みか、同人誌即売会で売るくらいしかなかった時代にネットで作品を発表するという選択肢が増えました。でもそのときは今と違ってネット回線が遅くて容量が大きい画像はアップできないという技術的な問題があったり、漫画を描く専用ソフトなんかもあんまりなくて思ったより大きな流れにならなかったんですね。

権威に魅力を感じているというよりは、失敗したくないというほうがニュアンスは近いのかなと思います。今は成功したいというよりは失敗したくないという空気の方が強いと思うんですよ。

別に漫画のナントカ賞が成功を保証してくれるわけではないけど(賞を取っても消える作家のほうが多いし)、今活躍している漫画家はたいてい何らかの賞を取ってデビューした人が多いからそのラインをなぞりたいという気持ちはわかります。一種の学歴のように考えているのかもしれません。

時代が変わってきているので今活躍している人たちと同じような道をたどる必要はないと思いますが、ネットでデビューした人から社会現象を起こすような大ヒット作が生まれたりしないかぎりあまり状況は変わらないと思います。いや、それでも変わらないだろうな。

意外にない漫画の書評本

ネットなどでは面白い漫画○冊!などの紹介記事は多いのですが、ちゃんとした本となるとほぼ存在しません。例外は毎年発表される「このマンガがスゴイ!」くらいでしょうか?もっと増えてほしいジャンルの本だと思うのですがなかなか増えませんね。

アメトークなどで漫画の特集をすることがあり定期的にやっているということは、それなりに面白い漫画を知りたいというニーズはあると思うんですがあれはファンが見てるだけなのかな?

学生の頃は周りの友達から面白い漫画の情報が自然に入ってきていました。意識しなくても面白い漫画の情報が普通手に入っていたんですが大人になるとそうもいきません。そもそも人と漫画の話をしないので何となく読まなくなる人も多いと思います。もしくは読んでも学生時代に読んだものの読み直しだけとか。

本書の最後の章で堀江氏が言うように、僕らくらいだとまだマンガを読んでいると大人から怒られてた世代なんですよ。「マンガばっかり読んでないで勉強しなさい!」的な。だから漫画を読むことに対してどこか後ろめたいという感覚が残っているのかもしれません。

昔に比べると普通に勉強になるような漫画もかなり増えたし扱う内容も多様化しているので、漫画の担う役割というか可能性というも変化していると思うんですけどね。本の中で紹介されてる「ラーメン発見伝」とか経営やマーケティング的にもすごく面白い漫画です。

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