漫画家の市橋俊介氏が東京から田舎へ移住し、農業をやりながらその様子をマンガに書くというエッセイマンガです。
アラフォー、独身、農業経験なし、人付き合いが苦手という状態から身一つで移住するとどうなるのか?
ぼっち村 市橋俊介著
ヒットに恵まれない漫画家の市橋俊介氏が打ち切りの危機を打開するために田舎に移住し、里山暮らしの様子を漫画にするという企画です。
以前「0円で空き家をもらって東京脱出」という本を紹介しました。
こちらは東京から広島県の尾道市への移住する話ですが、一つの例として参考になります。
尾道市はそこまで田舎ではないですが「ぼっち村」に出てくるのはガチの人里離れた山奥ばかりです。
そこで農業をします。
農業を始めるのにかかった費用や開墾の様子、台風などの自然災害、鳥獣対策、新規就農者向けのイベント参加レポートなど勉強になります。
普通こんなに行き当たりばったりで移住しないでしょうが田舎への移住、就農などに興味がある人は読んで損のない本です。
田舎の空き家物件は自分の足で探す
本の中で作者は空き家バンクという制度を利用しようとしますが、情報が古いとかリンク切れがあるなどあまり使えずに自分で探すことになります。
「0円で空き家をもらって東京脱出」でも自分で尾道の街を歩いて空き家を探し、近所の人に大家さんに連絡を取ってもらって交渉するという場面が出てきます。
いい空き家物件というのは、ネットではなかなか無いのかもしれません(もしくはすぐ決まる)。
田舎で農業をするのに必要なものは?
市橋俊介氏が新規就農者向けのイベントに参加したときに聞いた話というのが参考になります。
- 就農するなら最低1~2年の生活資金が必要
- 就農5年目でも4割が農業だけでは赤字
- 新規就農者のほとんどが別の仕事を掛け持ちしている
- 人と人とのつながり(コミュニケーション能力)が大事
作者は3回引っ越しますが、1回目は大家さんとの人間関係が悪化、2回目は寒冷地すぎて農業がままならないというのが原因でした。
3回目に気候的にもよく、近所の人にも恵まれた土地に引っ越しますが人間関係と農業が両立する場所というのは難しいですね。
1回目の大家さんとの人間関係の悪化は自分にも非があったのではないかと書いていますが、田舎の人はよく分からない人間が自分の周りに住むことを嫌います。
保守的と言ってしまえばそれまでですが何か怖いんですね。
空き家自体はたくさんあるのに10日間で50軒以上回ってもなかなか決まらなかった話などを読むと空き家問題の深刻さがわかります。
3回目の引っ越しは近所の人が良い人ばかりだと書いていますが、イベントや飲み会に顔を出して自分を知ってもらう努力をしているというのがかなり大きいと思います。
コミュ障だと思っていたけど場所が変わったら案外大丈夫という人も多いらしいですが。
田舎によっては消防団の参加が必須とか謎のルールがある場所もあるので注意が必要です。
あとは仕事ですね。
作者も雪が降る地域では冬の間農業ができず苦しんでいました。
別の仕事を掛け持ちといってもそもそも働く場所がないから若者が出ていっているわけなので。
掛け持ちしている人はどんな仕事をしているのか知りたいですね。
地域名+移住で検索すると移住に力をいれている自治体の場合専用サイト(例:岡山県高梁市)があります。
先に移住した人の体験談などが載っていたりサポート内容などを確認できます。
ぼっち村は定額読み放題のkindle Unlimitedで読むことができます。
(記事更新時の情報なので上のkindleリンクからkindle Unlimitedマークがついているか確認してください)